1. 売上1000万円以下が意味すること
消費税では、個人事業主の場合、原則として前々年の課税売上高が1,000万円以下なら免税事業者となり得ます。ただし、特定期間の判定、課税事業者の選択、相続・法人化などで扱いが変わる場合があります。「今年の売上が1,000万円以下」だけで結論を出さないことが重要です。
免税判定とインボイス登録は別。免税事業者でも登録申請はできますが、登録後は原則として消費税の申告・納税が必要です。
2. 個人事業主・フリーランスの本当の選択
答えは「売上が小さいから登録しない」「法人顧客がいるから必ず登録する」の二択ではありません。顧客が仕入税額控除を必要とするか、価格交渉の余地、納税と事務の負担、今後の取引計画を並べます。
要件を満たす間は消費税の申告・納税負担を避けられる。
B2B顧客の控除、価格・契約条件、登録番号の要望適格請求書を交付でき、課税事業者の顧客が控除に使える。
消費税の申告・納税、請求書要件、帳簿・証憑保存顧客が一般消費者、免税事業者、簡易課税制度を使う事業者であれば、インボイスの有無による影響が小さい場合があります。一方、原則課税の事業者では買い手側の控除に影響し得ます。顧客類型を件数ではなく売上構成で確認します。
3. 2割・3割特例と買い手側の経過措置
2割特例と3割特例
インボイス制度を機に免税事業者から登録した一定の事業者は、納付税額を売上税額の2割とする特例を選べます。個人事業者は2026年分までが基本で、国税庁は2027年・2028年について一定の個人事業者向け3割特例を案内しています。
一次情報国税庁 — 令和8年度税制改正特集仕入税額控除の経過措置
免税事業者などからの仕入れに係る控除割合は、2026年9月まで80%、2026年10月から2028年9月まで70%、2028年10月から2030年9月まで50%、2030年10月から2031年9月まで30%へ段階的に変わります。
一次情報国税庁 — 経過措置の見直し特例が使えるか、簡易課税とどちらを選ぶか、将来の制度変更をどう扱うかは個別の税額に直結します。本記事だけで選択せず、申告年度と売上・経費を税理士等へ示して確認してください。
4. 取引先にはどう見えるか
公正取引委員会は、免税事業者との取引条件を見直す場合、仕入税額控除への影響を理由に一方的な値下げや取引停止を行うのではなく、双方が納得できる再交渉を行う必要があると案内しています。フリーランス側も「登録予定」「免税のまま」「検討中」を曖昧にせず、請求書の表示、価格、契約更新時期を具体的に話し合います。
一次情報公正取引委員会 — 免税事業者との取引Q&Aインボイス制度の基本を確認する5. よくある質問
売上1,000万円以下ならインボイス登録は不要ですか?
基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら原則として免税事業者になり得ますが、インボイス発行事業者への登録は別の選択です。顧客構成、価格、申告負担などを含めて判断します。
個人事業主やフリーランスも登録できますか?
免税事業者を含む個人事業主も申請により適格請求書発行事業者として登録できます。登録すると原則として消費税の申告・納税が必要になります。
登録しないと取引できませんか?
登録しないこと自体で取引が禁止されるわけではありません。顧客が消費者、免税事業者、簡易課税の事業者などの場合は影響が異なります。取引先と条件を具体的に確認します。
2割特例はいつまで使えますか?
国税庁は、インボイス制度を機に免税事業者から登録した一定の事業者について、2023年10月1日から2026年9月30日までの日を含む課税期間を2割特例の対象として案内しています。個人事業者は2026年分までが基本で、2027年・2028年は一定の個人事業者向け3割特例が案内されています。
免税事業者からの仕入れはまったく控除できませんか?
買い手側の経過措置は、2026年9月30日まで80%、2026年10月1日から2028年9月30日まで70%、2028年10月1日から2030年9月30日まで50%、2030年10月1日から2031年9月30日まで30%を、一定条件の下で控除する段階設計です。
登録するかどうかを誰に相談すべきですか?
売上見込み、必要経費、顧客構成、簡易課税の可能性などで結果が変わるため、税理士または所轄税務署へ具体的な数字を示して相談してください。